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東洋薬行医療用漢方薬



副題

「とんでもない話。漢方薬は病院にも患者にも医療費全体にもプラスになっている」と、衣笠病院(神奈川県横須賀市)薬剤部の赤瀬朋秀部長は断言する。

赤瀬さんは漢方薬と西洋薬の比較調査をし、2000年4月の日本東洋医学会雑誌に発表した。鵡川厚生病院(北海道鵡川町)と伝統医学研究会あきば病院(千葉県蓮沼村)、それに当時勤務していた北里大学病院(神奈川県相模原市)を97年12月-98年2月に受診した風邪症候群患者875人のカルテを調べた。多くは"流行期に当たったインフルエンザと考えられた。

西洋薬、漢方薬、併用群に分けて処方の実態をみると、西洋薬群では平均2.9剤を6.7日分出し、漢方薬群は1.2剤4.O日分だった。当時の薬価で、西洋薬群は1日分204円、総額1,357円。これに対して漢方薬群は1日分120円、総額485円。漢方薬は西洋薬より1日分では4割安、総額では6割以上も安く済んだ。

併用群の総額も西洋薬単独より2割安かった。漢方薬群での処方は麻黄湯、桂枝麻黄各半湯、桂枝湯、小青竃湯の順だった。「風邪を漢方薬で治療すれば、国の医療費は年400億円減る」と赤瀬さんはいう。

昨年6月の日本東洋医学会では、斐川中央クリニック(島根県斐川町)の下手(しもで)公一院長が、漢方薬は病院や診療所の経営に貢献し、患者にも喜ばれると報告した。

下手さんは、療養型病床群と呼ばれる200床の病院で病院長を務めていたときに、本格的に漢方薬を導入した。脳卒中後遺症や認知症(痴呆(ちほう)症)の患者が多かった。

副題 「驚いたことに薬代が半減した」。西洋薬だけを使った97年は1日1人当たり1,394円の薬代がかかったのに、併用した98年は741円。療養型病床群の医療費は定額なので、年に4,700万円の節約は、そっくり病院の増収になった。漢方薬の併用で、抗生物質や抗不安薬、睡眠薬から胃腸薬、点滴、ビタミン剤まで軒並み減り、とくに抗生物質は7分の1に激減した。

当帰芍薬散、人参養栄湯、十全大補湯、八味地黄丸などの漢方薬代は1日分117円。しかも、感染症にかかりにくくなり、食欲が増し、徘徊(はいかい)や暴力も減ったという。

下手さんは99年の開業後も積極的に漢方薬を処方した。複数の診療所との比較で、病気1件あたりの薬代では4割安く、診療所全体では年間約8,500万円少ない計算になった。

患者負担が少ないので患者が増え、経営にプラスという。「漢方薬は患者の免疫力を高めるし、複数の症状に一つの薬で対応できるのが強みだ。私の報告を聞いて、漢方薬を導入した病院が増えている」と下手さんは話す。

国と企業との力関係から漢方薬の薬価は低く抑えられている。生薬の生産国・中国の通貨切り上げが見込まれ、漢方薬が値上がりする可能性はあるものの、西洋薬との差はまだ大きいので、当分は「安い漢方薬」時代が続きそうだ。

by 讀賣新聞(夕刊)2005年(平成17年)1月20日(木)

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