メタボリック症候群(内臓脂肪症候群)

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更新日 2011-07-30 | 作成日 2007-10-03

メタボリック症候群(内臓脂肪症候群)

内臓に蓄積した脂肪が一因となって高脂血症高血圧、高血糖などを重複腹囲して発症した状態をさす新しい疾患概念です。放置すると脳卒中、心筋梗塞、あるいは糖尿病などに進行する危険性が高まります。2006年5月、成人の有病者は約1,3OO万人と推計されることが厚生労働省の国民健康・栄養調査で分かりました。また、予備軍も約1,400万人いると推計されました。さらに、中高年になるほど増加傾向を示しています。なお。腹囲(へそ周り)が「男性85cm、女性90cm」の基準値以上の人で、
①高脂血症
②高血圧
③高血糖
のうち2つ以上に該当する場合は有病者、1つに該当する場合は予備軍と定義しています。
日本人の三大死因はがん、心臓病、脳卒中ですが、心臓病と脳卒中を合わせた循環器病を引き起こす原因は「動脈硬化」です。
「動脈硬化」の危険因子といえばコレステロールが有名ですが、最近の研究では、肥満(特に内臓のまわりに付着した脂肪)がさまざまな生活習慣病を引き起こし、それらの重なりが「動脈硬化」を起こすことがわかってきました。そのキーワードとなるのが『メタボリックシンドローム』です。

中高年がかかりやすい生活習慣病に

「糖尿病」「高血圧症」「高脂血症」があります。これらが重複すると動脈硬化を促進し、脳卒中心筋梗塞などの命にかかわる病気を引き起こしやすくなります。
内臓脂肪に「糖尿病」「高血圧症」「高脂血症」が重なり生活習慣病の危険が高まる状態を「メタボリックシンドローム」といい、病気ひとつひとつではなく、人間まるごとを見ようという考え方で治療を進めます。
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他人ごとではない、メタボリックシンドローム

食生活の欧米化肥満が大きな要因といわれるメタボリックシンド□一ムは、先進国を中心に増加しています。食生活が欧米化している日本も例外ではなく、平成16年の国民健康栄養調査では、予備群も含めると40歳以上の男性は2人に1人、女性は5人に1人がメタボリックシンドロームであるという結果が出ました。

メタボリックシンドローム対策

メタボリツクシンドロームには、体質や生活習慣が大きく関わっています。
毎日の生活を健康の観点から見直して予防・改善しましょう。

メタボリックシンドロームはなぜ起こる?

メタボリックシンド□ームは、動脈硬化を急速に進める危険がある「高血糖・高血圧・高脂血症」などが重複した状態のことです。
これらの疾患は個々の原因で発症するというよりも、「肥満」が大きな原因と考えられます。肥満による糖代謝や脂質代謝の異常がメタボリックシンド□ームを引き起こし、さらに動脈硬化が進むと心筋梗塞や脳梗塞などの重大な疾患につながっていきます。

危険な「リンゴ型肥満」

肥満は、体のどの部分に脂肪がつくかで2つのタイプに分けられます。肥満タイプ
洋ナシ型肥満』…下腹部や腰のまわり、太もも、おしりの皮下に脂肪が蓄積する「皮下脂肪型肥満」。
リンゴ型肥満』…内臓のまわりに脂肪が蓄積する「内臓脂肪型肥満」。
この2つの中で、メタボリックシンドロームになりやすいと考えられているのは『リンゴ型肥満』です。

メタボリックシンドロームはどうしたらわかる?

2つの肥満タイプで、「洋ナシ型肥満」は外見から明らかにわかりやすいのですが、「リンゴ型肥満」は外見ではわからない場合があります。そこで、簡単に調べる方法として「ウエスト径の測定」があります。
〈ウエスト径の測定方法〉
立った姿勢で軽く息を吐きながらヘソの周囲を測定します。
男性は85㎝以上、女性は90㎝以上あると内臓脂肪型肥満かもしれません。
※ウエスト径は腰の一番細いところではなく、へそまわりを測ってください。

メタボリック・シンドローム診断表

ウェスト男性85cm以上
周囲径女性90cm以上
対ウエスト周囲径」は、おへその高さで測ります。
※CT画像検査による内臓且旨肪面積100cm2以上に相当

血圧
最高血圧130mmHg以上
かつ/または
最低血圧85mmHg以上

脂質
中性脂肪150mg/d1以上
かつ/または
HDLコレステロール40mg/d1未満

血糖
空腹時血糖値110mg/d1以上

内臓脂肪蓄積を必須条件とし、血圧、脂質、血糖の3項目のうち2つ以上が基準値を上回るとき、メタボリックシンドロームと診断されます。

生活習慣を改善して内臓脂肪を減らそう!

内臓脂肪はたまりやすい一方、皮下脂肪に比べて燃焼しやすいため、実は減らすことが容易な脂肪なのです。毎日の食事を見直し、運動の習慣をつければ、内臓脂肪を減らすことは十分に可能です。

食生活

●食事は腹八分目に。
●野菜や乳製品、豆類など栄養のバランスのとれた食事を。
●味付けは薄めに。
●アルコールの飲み過ぎに注意。
●揚げ物などカロリーの高いものは控えめに。

運動

●通勤時などでひと駅手前で降りて歩く。
●エレベーターよりも階段を使う。
●買い物に出る時などは積極的に歩く。
●ウォーキングやジョギングなど、毎日できる軽い運動を習慣づける。

その他

●毎日の体重をチェックする。


カルシウムとメタボリック・シンドローム

生活習慣病に関係があるといわれるカルシウム。
メタボリックシンドロームにはどうなのでしょう。

カルシウムパラドックス

人間の体は、血液Φのカルシウム濃度を一定に保つ働きを持っています。そのため、カルシウムの摂取量が足りないと血液Φのカルシウムを増やすため胃のΦのカルシウムを取り出すことになります。この働きが長く続くと、多量のカルシウムが取り出され、この余分なカルシウムはいろいろな細胞の中に入ってしまいます。すると細胞のΦのカルシウムが過剰になり、生命の維持に重要な働きをしているカルシウムのバランスが崩れ、細胞の働きが弱まってしまいます。このような状態が「カルシウムパラドックス」です。

メタボリック・シンドロームとカルシウム

カルシウムが不足すると、インスリンを分泌する膵臓の細胞にカルシウムが過剰にふえ、カルシウムパラドックスとなります。するとインスリンの分泌が低下し、血糖のコントロールがうまく行かなくなります。カルシウムを十分摂取することによりインスリンを正常に分泌するだけでなく、血圧を下げ、体脂肪を減らすこともできます。このようにカルシウム不足はメタボリックシンドロームの大きな要因となってしまうのです。

カルシウムを効果的にとるには

吸収されにくいカルシウム
カルシウムは吸収が難しいミネラルで、常に不足気味です。
カルシウムを十分に摂るにはカルシウムを多くの含んだ食品をバランスよく毎日食べることが理想的ですが、実際にはなかなか難しいのが現実です。

【日本人の栄養充足度】摂難
栄養素等摂取目安量を100とした場合の各栄養素の充足率
平成16年国民健康栄養調査平成16年国民健康栄養調査
出典:厚生労働省「平成16年国民健康栄養調査」

カルシウム製剤を上手に利用
カルシウムは、胃酸でカルシウムイオンに分解された後、腸で吸収されます。食物により吸収されるカルシウムの量は30%前後といわれ、お年寄りになると吸収はさらに悪くなります。また、年齢に関係なく、忙しい現代の生活で、必要な量のカルシウムを摂取することは難しいことです。
そこで必要により、カルシウム製剤などで補給するのがよいでしょう。現在市販されているカルシウム製剤には、錠剤や散剤、液剤などがありますが、吸収の面から考えると、イオン化された液剤が効果的と考えられます。また、カルシウム食品はウエハース状、クッキー状、飲料状のものなど、種類も豊富です。
あくまでも補助的なものですが、毎日の食事にプラスし上手に活用するようにしましよう。