国家中医薬管理局、インフルエンザ予防の漢方薬処方を発布
北京【新華社北京5月7日=劉奕湛】 国家中医薬管理局は、「インフルエンザA(H1N1)漢方医薬予防方案」を発布し、インフルエンザ予防漢方薬処方を発表した。
同局は、国外のインフルエンザ患者の病状を調べ、古今文献を総括したうえで、インフルエンザA(H1N1)疫病の特徴をふまえた「方案」を作成した。「方案」は、日常生活予防、飲食予防、薬物予防に分類されており、詳細かつ簡単で実行しやすい漢方医薬予防策を提示している。
1.日常生活および飲食予防
天気の変化に応じ、適宜衣服の増減を行なう。飲食については、適時・適量・適温の原則のもと、刺激性食品は避ける。規則正しい仕事と休息を心がけ、日常的な運動を行ない、睡眠時間を確保する。心理状態のバランスを維持し、インフルエンザについて冷静な判断をする。あっさりした料理や薬膳料理を食べる。
2.薬物予防
「方案」では、さまざまな人に応じて詳細な処方箋を提示している。
◇薬物服用期間については、年配者は医師の指導のもとで適切に服用量を調整する。慢性疾病患者と妊婦は服用を慎むこと。
◇インフルエンザ予防用漢方薬は、長期服用を避け、服用期間は通常3~5日とする。
◇服用期間中または服用後、不快感を覚えた場合は、直ちに服用を停止し、医師に意見を聞くこと。処方箋に示す薬品にアレルギーがある場合は、服用しないこと。
◇アレルギー体質者は服用しないこと。
◇いわゆる秘方や民間処方を安易に信用しないこと。
このほか、漢方医学と民間伝統療法によると、芳香化濁を多用している。蒼朮、艾葉、藿香、当帰、白芷など、薬嚢や香薫は瘴気を除去する作用がある。
(翻訳 孫義)
by 新華社通信 日本語
中国政府のインフルエンザ対策
【新華社北京5月7日=劉奕湛】 国家中医薬管理局は、「インフルエンザA(H1N1)漢方医薬予防方案」を発布し、インフルエンザ予防中医薬処方を発表した。
これには生活面の予防、飲食面の予防、医薬面の予防の三つがあり、さまざまな人たちについて、それぞれ詳しく、かつ簡単で実行しやすい漢方処方を提示している。
それによると、生活、飲食面の予防では、着ている衣服を適時に増やしたり、減らしたりして、寒暖に対応する。飲食は適時、適量、適温を守り、刺激物は減らす。仕事と休息については規則性を持たせ、よく動き、早く寝る。心のバランスを保つ。インフルエンザに対する恐怖心は気の機能を乱れさせ、かぜをひきやすくなる。このほか飲食はあっさりしたものにし、脂肪の多い、味の濃いものを少なくし、簡単でおいしい薬膳にすると、インフルエンザ予防に役立つ。
処方1 虚弱体質でかぜにかかりやすい人
太子参10グラム、蘇葉6グラム、黄芩10グラム、牛蒡子10グラム、
処方2 顔が赤く、口や鼻が乾燥する人
大青葉5グラム、紫草5グラム、生甘草5グラム
処方3 顔色が悪く、腹部にいつも膨張感のある人
蘇葉10グラム、佩蘭10グラム、陳皮10グラム、
処方4 のぼせやすく、息がすっぱい臭いのする子供
霍香6グラム、蘇葉6グラム、銀花10グラム、生山楂10グラム
をそれぞれ清水で煎じて毎日1服、服用する。
注意事項:
服用期間、老人は医師の指導に従い、量を適切に調整する。慢性疾患のある人や妊婦は慎重に服用する。
インフルエンザ予防の漢方薬の長期服用は適しておらず、一般に3―5日とする。服用期間または服用後、気分が悪くなった場合、直ちに服用をやめ、直ぐに医師に相談する。
これらの漢方薬に過敏な人は使用してはならない。過敏な体質の人も慎重に服用する。いわゆる秘法や偏った処方を信じてはならない。
ただし、上記は中国人向けの量であるため、日本人の体質に対しては強すぎる懸念があるため、漢方医、薬剤師の指示で服用すること。
薬通販規制、2年猶予
厚労省案離島民と継続利用者
楽天の三木谷浩史社長一般用医薬品(大衆薬)の通信販売規制が6月に始まるのを前に、厚生労働省は11日、薬局などがない離島に住む人と、5月まで特定の薬を継続利用していた人に限り、規制後も2年間は通販を利用し続けられる、とした経過措置案を明らかにした。一般から意見を聴いた上で、省令を改正し、6月からの施行をめざすとしている。
この日の専門家による検討会で示された案によると、離島の住民については、薬剤師らが電話などでの情報提供に努めることや販売記録の保存を条件に通信販売を認める。
薬局で製造している漢方薬、胃腸薬など特定の薬を今月までに購入して、継続して使う人に対しては、同じ薬に限って、その店での通信販売を認める。
厚労省は、通信販売以外で薬の入手が難しい人への救済策だと説明。しかし、検討会で、ネットや通販の事業者は「離島が良くて、山間地などの過疎地の住民や、共働きで薬を買う時間がない人たちがダメな理由が分からない」(楽天の三木谷浩史社長)と強く反発した。(権敬淑、江渕崇)
by 朝日新聞
官僚のシナリオどおり? 医薬品ネット販売の検討会で"なし崩し的"な改正案
厚生労働省は11日、医薬品のネット販売規制などについて議論する検討会の第6回会合を開いた。事務局から規制を緩和するための省令の改正案が示されたが、楽天会長兼社長の三木谷浩史氏は会合後、「官僚が一から十まで決め、驚きを隠せない」と話した。
5月11日に開かれた「医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」第6回会合
「議論をまとめるのは不可能」と検討会の報告書づくり断念
2006年6月に公布され、2009年6月1日から施行が予定されている改正薬事法では、リスクに応じて医薬品を「第1類」「第2類」「第3類」の3種類に分類。これに関し、2009年2月6日に公布され、2009年6月1日に施行される予定の「薬事法施行規則等の一部を改正する(厚生労働省)省令」は、「第1類」「第2類」の医薬品のネット・通信販売を規制する内容となっている。第二類の医薬品には、解熱鎮痛剤、風邪薬、胃腸薬、水虫薬、妊娠検査薬、漢方薬などが含まれ、省令が施行されるとこれらの医薬品のネット販売・通信販売ができなくなる。
一方厚労省では省令が公布された2009年2月6日、舛添要一厚労相の指示により、医薬品の販売方法を再度議論するため「医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」を設置。2009年2月24日に初会合を開き、関係者からのヒアリングなども含め議論を行ってきた。
4月28日に開かれた検討会の第5回会合では、北里大学名誉教授で座長の井村伸正氏が、「今回の検討会は、報告書にまとめるというところまで落とせない。構成員のよって立つ基盤が違い、議論をまとめるのは不可能」と総括。これを受け事務局(厚労省)から、離島など店舗のない場所で通信販売を利用している人や、特定の医薬品を継続して飲んでいる人などを対象に、明確な期限を設けて通信販売を継続するための措置を省令改正案に盛り込む方針が説明されていた。
離島居住者と継続使用者に限り「2年間」の経過措置
5月11日に開かれた第6回会合では、事務局が省令の改正案を提示。改正案は、(1)離島居住者に対する経過措置、(2)継続使用者に対する経過措置、の二つが大きな内容。離島居住者に対する経過措置では、6月1日の改正省令施行後2年間は薬局・薬店のない離島(本州・北海道・四国・九州・沖縄本島以外の島)居住者に対し、伝統薬などの薬局製造販売医薬品と第2類医薬品のネット販売を含む通信販売ができるようにするとしている。また、その際の販売記録の作成・保存義務も定めている。
継続使用者に対する経過措置では、2009年5月31日までにオンラインショッピングなどで伝統薬や第2類医薬品を継続して購入・使用している人に限り、改正省令施行後2年間は購入することができるようにする。改正省令案の公布時期は2009年5月下旬、施行は6月1日が予定されている。
だが、検討会の議論を途中で中断しての、厚生労働省側からの突然とも言える省令改正案に対し、検討会の構成員からは異論が次々と出た。楽天の三木谷氏は、「消費者のマーケットは刻々と動いており、(改正薬事法を議論していた)4年前とは全く違う状況にある。厚生労働省は(今回の省令によって影響を受ける人の)影響範囲の検討が不十分だったのではないか。そうした観点からは、改正省令案で同一の医薬品しか買えないというのはどうなのか。また離島に限るとしているが、他の過疎地の人や障害者の方々はどうなるのか」と発言。
全国薬害被害者団体連絡協議会の増山ゆかり氏は「薬はやっぱり一般の商品と違う。現状インターネットで何ができるかについて具体的な中身が煮詰まらないままこういう改正案が出されたのは残念」と議論が十分に行われないままの改正省令案提示に異論を述べた。全国消費者団体連絡会事務局長の阿南久氏は「継続使用者の経過措置だが、今使っているという(人や医薬品の)特定はできるのか」と疑問を提示。日本置き薬協会常任理事長の足高慶宣氏も「離島居住者と言うが、これからどんどん拡大解釈されていくのではないか」と懸念を表明した。
一橋大学大学院法学研究科教授の松本恒雄氏は、2年間という経過措置の期間の意味について、「2年間の間に、離島などで薬品が入手できないという状態を解消するという意味なのか、それとも2年間に通信販売のルールをきちっと決めていくという意味なのか、2年間とした心は何か?」と事務局に質問。これに対し事務局では、「改正薬事法の経過措置が2~3年なので、少ないほうの2年間をとった」と説明。「その後は原則に戻る」とした。これに対しケンコーコム社長で日本オンラインドラッグ協会理事長の後藤玄利氏は「どのように販売すればインターネットで安全に医薬品を販売できるのか、別の場で検討すべきだ。早急にそういう場を設けていただきたい」と事務局に要望した。
三木谷氏は「日本だけ時代錯誤な方向に」
検討会の終了前、日本置き薬協会の足高氏が「この検討会と改正省令案とはどういう関係になるのか? (検討会は)参考程度か?」と事務局に質問すると構成員や傍聴席から大きな笑いが起きた。事務局は「意見が一致していればその方向で(省令改正を)進めたのだが…」などと回答。足高氏は、「改正省令案で対面販売の原則を崩すならはっきりと崩せばいいのではないか。インターネット販売の位置づけをはっきりせず改正省令案を施行すれば、Eコマースを日陰者にするだけではないのか」と、なし崩し的な経過措置を非難した。
会合後、楽天の三木谷氏は記者団に対し、「官僚が一から十まで決めて、驚きを隠せない」と述べた
結局、検討会では報告書などがまとめられなかったため、「検討会の意見を参考にした」として、改正省令案を厚生労働省の責任でパブリックコメントにかけることになった。パブリックコメント後、集められた意見について検討会をもう一度開催し、公布・施行されることになった。
会合後、楽天の三木谷氏は記者団に対し、改正省令案について「離島だけで障害者の方も考慮しないなんて意味が分からない。ゼロ回答に近い」と批判。「世界の潮流がセルフメディケーションに向かっている中、日本だけが時代錯誤な方向に進んでいる。(ネット販売が禁止されれば)どれくらいの人が困るか調べようと思えば調べられるはずなのに、日本の官僚はそれもやらない。形式的で、この手続きは一体何なのか? 官僚が一から十まで決めて、驚きを隠せない」と述べ、今回の検討会における厚生労働省の対応を非難していた。
(by マイコミジャーナル)
<薬ネット通販>条件付きで2年間容認厚労省が改正案
厚生労働省は11日、一般用医薬品(市販薬)のインターネットを含む通信販売について、6月から一部を除き禁止するとした薬事法施行規則の改正案を公表した。今後2年間は経過措置として、顧客が今まで使っていた薬に限り、通販を認める内容。厚労省は「ネット販売の継続容認ではない止の姿勢だが、購入歴の確認手順はあいまいで、2年間は事実上規制が棚上げされる可能性が出てきた。
市販薬は改正薬事法が施行される6月1日から、副作用リスクが低い「3類医薬品」を除き通信販売ができなくなることが2月に決まった。しかし、ネット業界などの反発を受け、舛添要一厚労相が再検討を表明。有識者検討会が議論してきたが、時間切れが近付き、厚労省が経過措置を設ける案を示した。
改正案によると、2年間販売を認めるのは、風邪薬や漢方薬などの「2類医薬品」で、3類と合わせれば市販薬の大半が含まれる。顧客に同じ薬を売っていた記録が店舗にあることが条件で、顧客が購入したことのない薬や別の店で購入していた場合は販売できない。
また、薬局・薬店がない離島在住者については、不便さを考慮して購入歴のない薬の販売も認める。厚労省は近く、一般からの意見募集の手続きを取り、5月中に施行規則を改正する方針。
検討会委員の薬害被害者代表は「過去に同じ薬を売っていたことをチェックするのは難しく、これまで通り、誰でもネットで薬が買える事態になる」と批判。一方、ネット業界側は「過疎地全体でなく、離島の人だけ特別扱いするのは合理性がない」などと販売対象の拡大を求めている。
(by毎日新聞【清水健二】)
新型インフル、予防には漢方
中国当局が処方発表
【北京=坂尻顕吾】新華社通信によると、中国国家中医(漢方)管理局がこのほど、新型インフルエンザの「予防漢方処方」を発表した。海外感染者の特徴と古今の文献を結びつけ、生活面、飲食面、医薬面の三つの点から漢方の予防法を提示した。
漢方薬が普及している中国では03年に新型肺炎(SARS)が大流行した際にも予防効果が期待され、特定の漢方薬が飛ぶように売れた。今回は、中国での流行前に当局が「予防効果がある」とお墨付きを与えた形だ。
発表された処方は生活面で、衣服の増減により寒暖に対応する▽仕事と休息は規則性を保ち、よく動き、早く寝る▽心のバランスを保つ▽新型インフルに対する恐怖心が気を乱し、風邪をひきやすくするので適切な知識を身につける――などと指摘。飲食面では、刺激物は減らす▽あっさりしたものを心がけ、脂肪の多い、味の濃いものは避ける――としている。
また医薬面は、虚弱体質の人、口や鼻が乾燥する人、顔色が悪く腹部に膨張感のある人など、人の特徴別に特定の漢方薬を提示。服用方法として、長期服用は適さず一般に3~5日に限る▽いわゆる秘法や偏った処方を信じない――などと訴えている。
by 朝日新聞
薬通販、来月から規制
厚労省 離島住民ら2年猶予
一般用医薬品(大衆薬)のインターネットを含む通庸版売場制について、厚生労働省は22日、薬局などがない鷲に住む人や漢方薬など特定の薬を5月まで継続利用していた人に限り、2年間は従来通りの購入を認める経過措置案を決めた。これを受け、改正薬事法と新しい省令は、6月から施行される。
来月からは、薬局で買うことのできる風邪薬などは、インターネットや郵送では買えなくなる。
同省は、処方箋無しで買える大衆薬を、副作用リスクに応じて三つに分類。6月以後は、医療用薬品の成分が含まれるなどリスクが高い第1類と、市販のかぜ薬、解熱鎮痛剤などの第2類は、薬剤師らによる店頭での対面販売が原則になる。
経過措置では、離島の住民に対し薬剤師らが電話などで情報提供することや販売記録の保存を条件に、第2も通信版売を認める。薬局でつくった漢方薬、胃腸薬など特定の薬を5月までに購入し、継続して使う人には同じ薬に限り、その店での郵送や通販で買えるようにする。
同省は「通信販売で薬が買えないと健康を保てない人もいる」などの意見に考慮して、検討会を設けて意見をきいていた。
22日の検討会では、安全性を重視する規制賛成派と、ネット事業者ら規制反対派が意見をかわし、大半が「経過措置案を認められない」と主張。検討会として最終結論を出せなかった。
ただ、検討会に法的な拘束力はなく、厚労省は省令施行へ作業を進める。
会議後、規制に反対する楽天の三木谷幣史社長は「経過措置は見せかけだけの救済策。国民の生活を無視し、時代に逆行したやり方だ」などとし、訴訟も視野に入れて対応を検討する姿勢だ。
(権敬淑、平塚史歩)
(by 朝日新聞)
気になる深層・NEWSに迫る! 通信販売規制「改正薬事法」きょう施行
(2009.06.01 by スポーツニッポン(22))
遠方「買いに行けない」漢方・途方…
改正薬事法がきょう1日から施行され、処方せんなしで購入できる一般用医療薬(大衆薬)のインターネットや電話での通信販売が規制される。対面販売でしか購入できなくなるもので、薬局がない離島の住民と、5月31日までに購入していた同じ薬を同じ店で継続利用する人に限り、2年の通販継続を認める猶予措置が取られる。しかし、郵送購入が多い漢方薬局の利用者らからは不安の声が高まっている。
対面販売のみ→「車いすで厳しい」
東京都立川市の女性(48)は18年前から、息子(21)のために大田区の漢方薬局・平和堂から漢方薬を取り寄せている。3歳の時に病院から処方されたぜんそく薬と風邪薬を併用し急性脳症となり障害が残った。数年後に薬害と判明。現在でも抗生剤などは体質に合わず、風邪や便秘などのたびに平和堂の薬剤師に電話相談し漢方の処方を受けている。
「うちは風邪薬1つでも漢方。体調に応じて薬も替えてもらってきた。薬局も自分に合う合わないがあるので、どこでもいいというものではない」。新制度のもとでは新規に処方された薬は通販で買うことができなくなり、2年間の猶予措置も意味がない。
薬剤師との対面販売での購入は可能だが、自宅から平和堂までは電車を乗り継ぎ1時間以上かかる。「息子の体調が悪いと自宅に置いていくわけにもいかない。車いすの息子を連れて行くには、決死の覚簡が必要。頭が変になりそうです」
平和堂では初回利用時に来店してもらいカルテを作成。全国約1万人の客のうち4割が郵送利用だという。店主の根本幸夫さんは「薬剤師が一人一人の体調や食事などをじっくり聞いて合うものを処方する。北海道や九州の方までおり、取りに来いとは言えない。郵送規制は患者の治療権利を奪うものだ」と憤る。
「同じ薬、同じ店」2年猶予措置も「体の症状で変更するものなのに」77歳女性ため息
東京都江東区で松江堂薬局を経営する松江一彦さんも「ある漢方を飲んだら、体の症状が改善されるのでそれに合う薬に変更していく。そうなると2年の猶予は受けられない。2年同じ薬を飲む人はいない」と語る。さらに「脳こうそくの後遺
症で歩けないお客さんもいる。対面販売のみとは患者にとって死活問題」。
清瀬市で一人暮らしをする女性(77)は30年にわたり漢方薬局から漢方薬を取り寄せている。「2年たったら、今と同じ健康状態とは思えない。電車を乗り継いで受け取りに行けるのか。これまでの体調管理が一切崩れてしまう。探し当てた自分に合う薬局なのに」とため息。不安になり、今年2月に厚生労働省に問い合わせをしたところ、担当者に「利用している漢方薬局から近所の薬局に薬を送ってもらい、取りに行って。あとはホームページを見て」と言われた。通販規制は、薬剤師らが責任を持って薬の副作用などを客に説明するために取られる措置。
「近所の調剤薬局の薬剤師さんが、漢方の知識を持ち、安心して渡せるかどうか判断できるのでしょうか?」
厚労省ネット対策ばかりに主眼
漢方製剤メーカーの「栃本天海堂」によると、取引のある全国の漢方薬局約2000店舗のすべてが郵送販売を行っている。その他の製剤メーカーの調査でも9割以上の社が郵送販売を実施。売り上げの7劃が郵送販売という店もある。
厚労省は、これら漢方薬局とその利用者の実態・についての独白調査を一切行わないまま、改正法を施行する。今年2月に立ち上げられた舛添厚労相直属の「医薬品新販売腰制度の円滑施行に関する検討会」で「さざまな意見を議論しましたから」 (厚労省担当者)としている。
しかし、検討会設置は改正法の施行規則などを改正する厚労省令の公布後。「ネット販売にばかり主眼が置かれ、漢方利用者らのことは何も分かっていなかったのでは」(根本さん)。厚労相を経験したある大物議員は「はっきり言ってあなたたち(漢方薬局)は、ネット規制のとばっちりを受けた」と話したという。
根本さんらは今年2月「漢方などの医薬品の郵送販売を守る会」を設立。
5月29日までに1093店舗が賛同、改正法に反対する4万7055人の著名が集まった。守る会では「登録販売者が薬の説明をするだけの対面販売が可能で、薬剤師が電話できちんと話を聞く漢方薬局がなぜ駄目なのか。今後も署名活動などを続けて訴えていく」としている。
2社が国を訴える
○…健康関連商品のインターネット販売業者「ケンコーコム」など2社は5月25日、今回の法改正は営業の自由を不当に侵害し違憲として、国を相手に、改正法施行に伴う厚労省令の無効確認や、取り消しなどを求める行政訴訟を東京地裁に起こした。また、インターネットショッピングサイト「楽天市場」では、ネット販売規制に反対する署名を受け付けており、5月27日現在で150万件を超えている。
伝統薬”存続危機”:八ツ目製薬も困惑
目の乾燥に効く「八ツ目鰻キモの油」や膏(こう)薬「下呂膏」など、日本各地に古くからある製薬会社が独白の処方で国から承認を得た「伝統薬」も今回の郵送規制の対象。明治末期に東京・浅草で創業した「八ツ目製薬」の加次井商太郎社長は「問題なくやってきたことを一方的に変えるのはおかしい」と主張。全国の伝統薬メーカー44社で「全国伝統薬連絡協議会」を設立した。
創業約300年の老舗もあり、家族経営の小規模なところも多い。熊本で血のめぐりに効く「人参順血散」などを製造する「渡部晴光堂」はわずか8人。全国約3000人の客のうち7~8割が郵送だ。渡部展行社長は「枕元に携帯電話を置いて24時間患者の症状に対応できるようにして信頼関係を築いてきた。今後新規のお客さんが取れなくなる恐れがある」と経営不安を口にする。
京都で江戸時代から続く業者は家族3人で伝統薬を守ってきた。「3割ぐらいが郵送。経営はほんとうにしんどい。でも〝やめんといてね”と言ってくれるかたもいるから」
今回の規制は、今後伝統薬の存続に大きな影響を及ぼすという。岐阜県の下呂温泉に代々伝わる「下呂膏」を製造する「奥田又右衛門膏本舗」の日向靖成社長は「郵送割合は2割ほどですが経営には大きな痛手。メーカーが立ちいかなくなると、それは伝統薬が1つ消えることを意味する」と指摘する。製造を一度止めると、後で同じ伝統薬を製造しようとしても新薬と同じ扱いになるため、再開には臨床実験などから始めなければならない。「コストや期間の面で伝統薬業者にそれは不可能。古くからの薬を1つでもなくさないようにしなければいけない」
「第2&3類」販売可:コンビニが本格参入
○…登録販売者を置をけば、コンビニやスーパーでも第2類、第3類の大衆薬が販売可能となったため、流通各社が本格参入。近くで深夜に買えるだけでなく、低価格化も予想される。
「セブンーイレブン・ジャパン」は、調剤薬局アインファーマシーズと提携、都心の1店舗で6月から登録販売者による販売を開始。
また、イオンは独自ブランドの低価格医薬品を、傘下のドラッグストアを中心に販売する。一方、迎え撃つドラッグストア各社も、薬剤師より資格取得が容易な登録販売者を活用し、24時間営業の店を増やす方針。
メ モ
▽改正薬事法:大衆薬を副作用の危険度や成分別に3段階に分類し、第1類、第2類に属するものは店頭での対面販売のみに限定する。これまで薬事法に規定がなくインターネットでの販売が広がっていたが、薬害などを防ぐために店頭での薬剤師らの説明が原則となる。1、2類を合わせ、対象となる医薬品は700種類以上。最もリスクの高い第1類は薬剤師が購入者に説明する義務がある。第2類については、高卒以上で薬剤師の下で1年以上の勤務経験があり、都道府県の試験を受けた「登録販売者」による店頭販売も可能。違反し、漢方などを郵送すると立ち入り検査、業務改善命令、営業停止処分などを受ける。
区分 | 主な商品 | 通信販売 | 販売時の対応者 | 情報提供 |
---|---|---|---|---|
第1類 | 胃腸薬「ガスター10」 消炎鎮痛剤「ボルタレンAC」 禁煙補助剤「ニコチネルパッチ」 発毛剤「リアップ」など |
不可 | 薬剤師 | 義務 |
第2類 | 漢方・生薬 「パブロンS」などの風邪薬 解熱鎮痛剤「バファリン」 胃腸薬「正露丸」など |
不可 | 登録販売者 薬剤師 |
努力義務 |
第3類 | 「チョコラBB」などのビタミン剤 整腸薬「ビオフェルミンVC」 うがい薬「イソジン」 消毒薬「マキロン」など |
可 | 登録販売者 薬剤師 |
不要 |
2009.06.01 by スポーツニッポン
大衆薬、コンビニ販売開始
改正薬事法が1日施行され、薬剤師の代わりに新設の「登録販売者」を置けば風邪薬などの大衆薬をコンビニエンスストアなどで販売できるようになった。早速、セブンーイレブンとサンクスに「1号店」が登場。競争激化を見込み大手スーパーは値下げに動き出した。
セブンーイレブン麹町駅前店(東京都千代田区)には1日午前3時から、入り口正面に風邪薬や頭痛薬などの医薬品97品目が並んだ。薬剤師がいる約20店舗で時間を区切って販売していたが、4人の登録販売者を配置し、24時間通して販売する。サンクス田町東口店(同港区)も、時間を区切って風邪薬や胃腸薬約200種類を販売。レジ近くに相談コーナーも。
大手スーパー値下げで対抗
薬剤師を置いて販売してきた大手スーパーでは、人件費が安くてすむ登録版売者を増やして売り場を増やすすだけでなく、医薬品の値下げも加速させている。イオンは本州と四国にある「ジャスコ」と「マックスバリユ」の計約300店で、1日から胃腸薬や目薬など約300品目を1~2割程度引き下げた。部安な自主企画(PB)の医薬品を11年度までに現在の1.6倍の300品目に広げ、価格も薬品大手の商品より最大4割安くするという。
イトーヨーカ堂は、全国112店で風邪薬や整腸薬など約200品目を30日までの1カ月間、値下げする。調剤最大手のアインファーマシーズと新会社を1日付で設立し、セブンーイレブンと調剤薬局の共同出店も進める。
家電量販店のヤマダ電機やコジマも、登録販売者を増やし、医薬品を取ひ扱う店を広げていく方針。
こうした動きに「本家」のドラッグストアは、マツモトキヨシが24時間を含む長時間営業の店舗やPB商品の拡充で対抗する。
2009.06.02 by 朝日新聞(内山修)
大衆薬、コンビニでも
登録販売者配置が条件
一般用医薬品(大衆薬)の販売規制緩和を盛り込んだ改正薬事法が1日、施行された。新設資格の「登録販売者」を配置すれば、薬剤師が不在でも風邪薬や鎮痛剤など9割以上の大衆薬を売ることができるようになる。登録販売者の試験は比較的易しく、薬剤師よりも人件費を抑制できるため、コンビニエンスストアなどが本格参入を摸索している。
ファミリーマートは昨年秋、東京都内の直営2店舗に薬剤師を配置し、時間を限って大衆薬の販売実験を開始。
既に5人の登録販売者も確保しており、近く24時間販売に乗り出す方針。
セブンーイレフーン・ジャパンでは、薬剤師がいる約20店憫定で扱っていたが、1日から都内の1店舗で登録販売者による24時間販売を試行。
サークルKサンクスも6月以降に都内3店舗で販売実験を行う予定。
コンビニ以外でも、ヤマダ電機やホームセンターのコーナン商事などの従業員が新資格を取得している。
一方、迎え撃つドラッグストア業界では、最大手のマツモトキヨシホールディングスが約3000人の登録販売者を確保。今後は「(調剤などで)専門性を追求する」(吉田雅司社長)とともに、自主開発商品の拡充などで新規参入組との差別化を図る方針。
登録販売者の受験資格を得るには1年間の実務経験などが必要で、直ちに大きく展開できるわけではない。各社の実験も現状では「今後のさらなる規制緩和に備える」(セブンーイレブン)意味合いが大きいといえそうだ。
2009.06.02 by 聖教新聞
新型インフル:全医療機関で受診可
厚労省が運用指針を改定
厚生労働省は19日、新型インフルエンザ対策の運用指針を改定した。秋冬に感染者が増加し、まん延する事態を想定。医寮態勢や検査方針の見直しが柱で、重症患者への対応を最優先とした。季節性インフルエンザ対策に近づけた措置で、自治体などの準備が整い次第、段階的に実施する。
舛添要一厚労相は閣議後の記者会見で、「現時点を準備期闇と位置付け、秋冬に向けて整備を進めたい」と述べた。
同省によると、感染拡大を防止するため一部で行っていた入院措置は取りやめ、自宅療養を原則化する。発熱相談センターが特定病院を紹介する形は改め、すべての医寮機関で受診可能とした上で、院内感染対策を徹底させることにした。
発生状況の監視は、個人単位から集団レベルに変更。これに伴い、感染が疑われるケースで全員に行っていた遺伝子検査は廃止し、全体の発生動向はサンプル調査で把握する。
これまで個々の患者の治寮経過をフォローしていた点についても、入院患者数に重点化する。約500カ所の医寮機関でウイルスの解析を継続的に行い、毒性の変化を調べる。
検疫態勢については、機内で症状があっても遺伝子検査は行わず、マスクを着用した上での帰宅を可能とした。
同省はウイルスが強毒性に変化したり、治療薬に耐性を持ったりした場合には、運用指針を再度見直すとしている。
一方、新型インフルエンザのワクチンは7月中旬ごろ製造を開始し、10月には一部で接種可能になるとの見通しを隣らかにした。年末まで製造を続ければ、約2500万人分を準備できる。
2009.06.20 by 聖教新聞
【厚労省】新販売制度で覆面調査‐消費者モニター導入
先月からスタートした新販売制度を円滑に進めるため、厚生労働省は新たな取り組みに着手する。消費者モニターが薬局などで覆面調査を行い、不適切な販売実態があれば、各都道府県の相談窓口に情報提供した後、薬局にフィードバックし、改善につなげる。モニターについては、薬剤師や登録販売者がなることも視野に入れているが、具体的な選定方法は「ある特定の組織に頼むことも含め、検討している段階」としている。
新販売制度では、一般薬のリスク分類に応じた情報提供や、薬剤師や登録販売者と一般従事者を区別するための名札の着用、一般薬を販売しない時間帯における陳列場所の「閉鎖」などが求められている。
そのため厚労省は、今年度予算に新規事業として2600万円を「医薬品消費者相談等体制整備」に計上し、改正薬事法施行後に、新販売制度が円滑に実施されているかどうか、薬局での運用状況を調べると共に、その結果をもとに必要な検討を行う。
当初は、リスク分類に応じた情報提供や、店舗内の掲示などに対する薬局の取り組み状況を調査し、報告書をまとめるといった内容が想定されていた。しかし、厚労省は「調査そのものが目的ではない。制度が求めていることが、現場でしっかり遵守されているかを見ることが重要」と判断。事業の枠組みについては「モニターからの情報が、都道府県に設置している窓口に吸い上げられ、それが薬局にフィードバックされる仕組みをイメージしている」とした。
厚労省では、スーパーなどに置いてある“苦情ボックス”のようなものを想定しており、たとえ苦情が寄せられたとしても、「直ちに処分ということは考えていない」と、薬事監視のような厳格な処分にはつなげない意向を示している。モニターによる覆面調査などで、“いつ見られているか分からない状況”になれば、売る側も緊張感を持つようになり、「きちんとやってもらうための環境作りにつながる」と話す。
また、厚労省は「何割の店舗が情報提供などに対応できているかなど、全体のトレンドを公表することも大事」としており、ある期間を区切って相談窓口に寄せられた情報などを公開する可能性もある。
2009.07.07 by 薬事日報