
漢方薬処方に指針
数万人の効き目分析へ 厚労省
「漢方」がどんな人に効きやすいのか、医師が判定に役立てる指針作りに、厚生労働省研究班が今年度から乗り出す。慶応大病院、富山大病院など11施設が3年計画で数万人分の患者データを蓄積。体質や症状などと、効果との間に一定のパターンを見つけることで、科学的根拠の発見と治療の標準化につなげる。
漢方は、西洋医学では治しにくい冷え性や、原因不明の体調不良の不定愁訴など、様々な症状を総合的に治せると期待される。胃潰瘍などに効く柴胡桂枝湯、インフルエンザに効く麻黄湯など、現在148品目に公的医療保険が適用され、年間の売上高は1千億円以上。医師の7割が処方しているという。
しかし、その効果について、医師の経験や患者の主観で判断することが少なくない。西洋医学の薬に比べて、科学的根拠の研究、蓄積が少ない傾向がある。
厚労省研究班(主任研究者=渡辺賢治・慶応大漢方医学センター長)は患者の体質や症状などに応じて、薬を選ぶ判断材料を探ることにした。患者が受診の際、症状とその程度を0~100のスケールで入力し、西洋医学と漢方の診断名や処方薬のデータも集める。慶応大ではすでに約5千件のデータを蓄積。にきびや汗を伴う冷え性は「漢方が効きにくい」ことが分かった。
慶応大の渡辺さんは「経験に基づく、伝統医学の匠の技について、きちんと科学的な根拠を示したい」と話している。
■代表的な漢方薬
葛根湯 風邪、肩こり
安中散 胃炎
大柴胡湯 肝機能障害、食欲不振
防風通聖散 肥満症、高血圧症
当帰持薬散 冷え性、更年期障害
十全大補湯 疲労倦怠、食欲不振
潤腸湯 便秘
猪苓湯 膀胱炎、腎炎
(岡崎明子)
(2010年05月02日 朝日新聞)
ルポにっぽん(Reportage NIPPON)
昼の給料だけでは生活苦
■家庭教師
サラリーマンの副業は多種多様に広がる。コンビニエンスストアや飲食店の店員のほか、学生アルバイトの定番だった家庭教師も人気だ。
会社には内緒で「家庭教師のトライ」(東京都)などに登録した名古屋市天白区に住むシステムエンジニアの男性会社員(37)は、中学3年生や小学6年生ら3人に数学・算数や理科を教える。
ここ2年で残業がなくなり、本業の給料は月4万~5万円減った。手取りで20万円弱だ。マンションの家賃だけで8万円。昨年末には初めての子どもが生まれた。「家族を養うには、昼の仕事だけではどうにもならない」家庭教師の時給は3千円超。多い時は6人に教え、減収分を補って余りある15万円を稼いだ。平日は夕方5時半に同市内の本業の会社を退社した後に2時間、家庭教師に入り、土曜日は午前と午後で別の子を教える。休みは日曜日だけだ。男性は「緊張感が途切れないから、副業をしても疲れない」という。
家庭教師は「指名制」だ。
登録しても、実績を積まなければ指名が入らない。教え子の成績アップのためには、手抜きはできない。
ストレスを抱える教え子がいると、じっくりと悩みを聞く。成績が下がって志望校を変えるかどうか、親子の間に立って相談に応じる。
男性は「親は、学生にはない社会人の持ち味に期待して指名してくれる。応えてあげないと」と話す。
会社では人員削減が始まった。「この先どうなるんだろう。万一、会社に切られた時に備え、今のうちから収入源を確保しておきたい」
■ネット店舗
一方、腕次第で本業を超える新手の副業もある。
東京都目黒区に住む広告イベント会社員の森本拓志さん(32)は、副業で禁煙のための電子たばこを売る店舗をネット上に開いている。本業の会社も昨年初めから給料が減り、30万円の月給が10万円に減ったこともあった。利益率が2~3割の副業による売り上げは多い時で月90万円に上った。
森本さんの副業は「ドロップシッビング(直送という意味。以下DS)」と呼ばれる。DSサービス業者に会員登録してネット店舗を開き、注文が入れば、商品の発送、代金徴収などはDS業者が請け負う。森本さんのような店舗運営者の仕事は、DS業者の商品リストから売りたい商品を選び、「売れやすいサイトを作ること」だ。DS業者の卸値とネット店舗での売値の差が利益になる。
森本さんは、商品を売れ筋ランキング別や値段順に紹介するなど、ネット店舗のサイトに工夫をこらす。利用するDSサービス会社「もしも」(東京都)によると、リーマン・ショック直前の2008年8月は約18万人だった会員(店舗運営者)は09年10月、30万人を突破、6割超が会社員だ。同社は入会金などが無料なのが人気の理由という。
副業をする理由。その多くは、将来への不安だ。
(渡辺周)
■ネット店舗副業トラブルも多発
DSを巡っては、高額な入会金を徴収する業者もあり、トラブルが相次ぐ。
国民生活センターによると、DSなどネット上店舗の副業についての相談は09年度上期で356件。前年度同期の100件に比べ3.5倍以上。昨年12月には、「必ずもうかる」と勧誘されて入会金140万円を払って出店したのに注文が少なかった40代の男性ら3人が、東京の業者2社を相手取って契約金返還などを求め、名古屋地裁に提訴した。
(2010年05月02日 朝日新聞)
薬販売規制 根強い不満
郵送継続求める署名5万通
改正薬事法=(参照)=が昨年6月1日に施行されてから1年になる。
大衆薬のインターネットや郵送による販売規制に対して、今も漢方薬の利用者やネット販売業者からは規制緩和を求める意見が根強い。
鳩山内閣の行政刷新会議でも議論になったが、厚生労働省は見直しには否定的だ。(月舘彩子、内山修)
改正薬事法施行1年
昨年2月につくられた「郵送販売継続を守る会」は1日、漢方薬の郵送販売を続けられるよう求める署名(5万9165通)を長妻昭厚労相あてに提出した。あと1年で郵送販売ができなくなることについて、初回は店頭販売し、その後に郵送販売する際も記録を残すことなどを条件にして継続を認めてほしいという要求だ。
かぜをひいて店に来られないとか、来店しても重くて持ち帰れないから送ってもらっていたのに、と不安を訴える高齢者は多いという。同会の漢方平和堂薬局店主の根本幸夫さん(63)は「症状を細かく電話で聞いて送っていた。ネット販売と漢方薬や伝統薬の郵送販売は違う」と話す。
同会のアンケートに回答した薬局の160店舗では、郵送販売が売り上げの3割以上を占める店舗は15%にもなる。根本さんは「来店が難しいなら、病院を受診するように言うしかない。厚労省は、自分の健康に責任を持ち、軽い不調は自分で手当てしょうという政策を推進しているが、逆行するのでは」と指摘する。
これに対し、厚労省側は「漢方薬も含め薬にはリスクがある。遠くにある薬局に行けないなら、近くの薬局に送ってもらい、そこの薬剤師が説明する方法もある」と見直しに反対の立場だ。
ネットでの医薬品販売をめぐる規制緩和策も今後の議論のひとつだ。内閣府の行政刷新会議の分科会は今年4月、「ネット医薬品販売のルール制定に向けた検討に着手すべき」との方針案を示した。
しかし、厚労省の担当幹部は「利便性よりも安全性の担保。制度の定着を図ることが必要」として消極的だ。
大衆薬市場拡大せず
薬事法改正の狙いのひとつは、いつでも、手軽に、大衆薬を買うことができるようにすることだった。
東京都千代田区のコンビニエンスストア「セブンーイレブン」。入り口正面には、風邪薬や目薬など大衆薬が並ぶ。店員が胸につけているのは「登録販売者」のプレートだ。コンビニで頭痛薬を買った男性会社員(27)は「仕事中に頭が痛くなった。手っ取り早く薬を買うことができてよかった」と語った。
コンビニのみならず、大衆薬を扱う小売店はスーパーや家電量販店、スポーツ用品店などまで拡大し、消費者の利便性はある程度向上した。
一方、もう一つの狙いが大衆薬市場の規模拡大だ。目指したのは、栄養ドリンク剤など「医薬部外品」のコンビニ販売解禁で市場が急拡大した1999年の再来だ。だが、販路は広がったにもかかわず、市場の拡大は期待通りは進んでいない。
調査会社インテージによと、09年度の市場規模は1兆1383億円で、2年連続の減少。規制緩和で伸びるはずだった、風邪薬や目薬などに代表される「第2類」「第3類」がともに減った。
8万人弱の「登録販売者」の多くが既存の薬局やドラッグストアに囲い込まれ、新規参人組は思うように人数を確保できなかった。
資格を得るには筆記試験のほか、1年以上の薬販売の経験が必要とされるなど、新規業者からは「資格取得条件のさらなる緩和が必要だ」との声も漏れる。
(参照)
改正薬事法
一般医薬品(大衆薬)を3分類した。副作用リスクが高い第1類と第2類は薬剤師による店頭での対面販売が原則。第2類では、都道府県が実施する試験に合格した登録販売者による店頭販売も認めた。このためインターネットや郵送では買えなくなった。
日本薬業研修センターによると、登録販売者の合格者数は2008年度が約5万9千人、09年度が約2万1千人。
ただし、薬局のない離島の住民や、漢方薬などで特定の薬を利用していた人に限り、施行から2年間は従来通りの郵送販売が認められている。
(2010年06月02日 朝日新聞)


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