【漢方薬の母体・胎児への影響】
1 日本における対応
1.1 現在まで、漢方製剤の催奇形性の報告はありません。

妊婦 1.2 妊娠に関しては、過去より安胎薬、慎用薬、禁忌薬に分けて注意を促してきました。
  ●安胎薬:芍薬、人参、黄耆、白朮、陳皮、艾葉、木香など。
   当帰芍薬散は流・早産の予防効果があります。
  ●慎用薬:桃仁、牡丹皮、牛膝、紅花、大黄、芒硝、附子など。
  ●禁忌薬:無し。

1.3 日常臨床で使用されている漢方エキス製剤は中国のそれと比較して低用量に抑えられており、妊婦に対する使用は、証・適応を守って行う限り投与可能といわれています(産婦人科の世界増刊号1990)。
ただし漫然と投与すべきでないとされています(産婦人科治療86(5)910,2003)。
1.4 妊婦への慎重投与の薬剤
  上記の慎用薬を含む処方(とくに大黄剤)は要注意です。
  大黄剤:桃核承気湯、大黄牡丹皮湯、通導散、大承気湯、菌陳蒿湯、三黄瀉心湯、大柴胡湯など
  (村田高明:産婦人科治療71(3)261,1988)
  (岡野善郎ほか:漢方薬の服薬指導南山堂2001)

2 中国における対応
2.1 中国では、毒性や薬性の強烈な中薬と、活血(瘀血の除去)、行気(気滞の除去)および辛熱性の強い中薬は堕胎の原因になるとされています。
  ●毒性:附子、天南星、半夏、細辛、呉茱萸、杏仁、白果、仙茅、三稜、莪朮、麝香、水蛭、虻虫、桃仁、紅花、大黄、枳実、乾姜、肉桂
  ●活血:川芎、延胡索、鬱金、益母草、蘇木、牛膝
  ●行気:枳実、香附子、烏薬
  ●辛熱性:附子
  中国では、以上の中薬を含む方剤を妊婦が使用する場合は注意が必要です。医師または薬剤師にご相談下さい。
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